日本草地学会誌
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イネ科混播草地の収量性に及ぼす品種組合せの影響
杉山 修一中嶋 博
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1993 年 39 巻 2 号 p. 257-262

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抄録
育種によって,これまですぐれた収量性を示す多くの牧草品種が育成されてきている。しかし,これらの品種が,放牧草地のような他草種との競争や家畜による頻繁な採食圧を受ける複雑な条件下でも,その高い収量ポテンシャルを発揮できるかどうかはよく分かっていない。異なる品種の組み合せが,混播草地の収量性にどのような影響を与えるかを明らかにする目的で,オーチャードグラス18品種各々の単播とトールフェスクの競争力の高い品種(Kentucky 31)と弱い品種(ホクリョウ)との混播草地を造成し,放牧条件を想定した刈取り条件下(1年目1回,2年目4回)で2年間にわたって収量を比較した。実験の結果,次のことが明らかとなった。(1)単播区と混播区の収量には有意差がなかった。(2)オーチャードグラス,トールフェスク品種間には競争力(構成種割合)に高い品種間差異が見られた。(3)混播草地の合計収量では,オーチャードグラス品種間には1年目には有意差が見られたものの,2年目には品種間差異が認められなかった。(4)オーチャードグラスとトールフェスクの間で,合計収量が多収となる特別な品種組合せはなかった。(5)高い競争力をもつ品種が合計収量で多収をもたらすわけではなかった。これらの結果から,イネ科混播草地では,品種の組合せによる合計収量の増加はあまり期待できないが,品種間には大きな競争力の差異があるので,品種組み合せは草地の植生構造の変化に大きな影響を与えるものと考えられる。
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© 1993 著者
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