抄録
クズの群落構造と茎葉生産に関する研究の一環として,造成後約15年をへた放棄畑に成立したクズ自然群落の越年茎と根群からなる網目状構造の季節変化を,1990年5月から12月にかけて調査した。m^2当たりの越年茎の茎長は,1環茎では4.4-16.6m(平均9.3m)の範囲にあり,季節が進むにしたがって減少した。2環茎は6.6-9.8m(平均7.4m)で,季節変化は認められなかった。3環以上の茎の長さはいずれの採取時期とも10cm/m^2以下であった。m^2当たりの全根群数(クラウン数に相当)は20.7-49.6個(平均32.2個)の範囲にあり,次第に減少した。それらのうち,R-Iの根群は87-94%,R-IIの根群は4-11%を占めた。越年茎1m当たりの根群数は,1環茎では1.0-2.2個(平均1.5個)の範囲にあって次第に増大する傾向があった。2環茎では2.0-3.0個(平均2.5個)の範囲にあり,わずかに減少する傾向があった。3環茎は平均では6.5個であった。採取時期を通じて平均した1根群中の最大根の基部直径(LBD)はR-I根群3.0mm,R-II根群13.2mmおよびR-III根群23.8mmであった。さらに,本研究では維管束環数の異なる越年茎について,茎の長さ当たりの乾物重,単位茎長当たりの節数および全節数に対するクラウン数の割合を調べた。網目状構造に関するこれらパラメータのうちいくつかは,当年生草冠の乾物ならびに葉面積生産に直接関与するものであるから,クズ群落の茎葉生産過程を解明するためには,網目状構造の調査も併せ行うべきである。