地理学評論 Series A
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論説
集落へのヒグマ出没の人的要因——北海道平取町を事例に——
橋本 操
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2014 年 87 巻 3 号 p. 205-223

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抄録

本稿は,北海道平取町を事例に,ヒグマの採食行動の季節性を踏まえ,ヒグマが出没する集落環境とそれを形成する人間活動を分析することで,ヒグマが集落へ出没する人的要因を明らかにした.まず平取町を含む日高地域を対象に,ヒグマの胃内容物データより,人間活動に起因する食物の採食時期を把握した.次に平取町において,ヒグマが出没する地点の土地利用を分析した.さらにヒグマの駆除に携わる狩猟者12名に聞取り調査を行い,周年的な農業,駆除活動の情報を得た.その結果,①春から初夏に,農地周辺,捕獲場所から近い林野,藪地にエゾシカの駆除死体が埋設されたり,回収されずに放置されており,ヒグマがそれらを摂取できること,②酪農・畜産農家が所有するデントコーン畑は,住宅地から離れ,森林に近接して立地するため,晩夏から秋の成熟期に被害が多いことが明らかになった.

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© 2014 日本地理学会
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