2017 年 90 巻 2 号 p. 137-149
本研究では,JAの合併に伴う取扱量の増大を背景とした卸売市場の集約化がどのようにして展開しているのかを,JAつがる弘前によるリンゴ出荷を対象に明らかにした.その結果,卸売市場への出荷は,産地での袋詰めや希望価格の実現性の低さなど産地側の負担が大きいものの,JA内で在庫が発生した際などに大量出荷可能な大都市の市場への量的集中がみられた.その一方で,大量に出荷することのできない市場でも価格や等階級指定の緩さといった取引上の優位性がある市場や出荷量の増加要求のあった市場への出荷は増加傾向にある.しかし,同じ少量出荷している市場でも,取引に優位性のない市場への出荷は減少傾向にある.そのような市場と多量出荷可能な市場間での出荷するリンゴの等階級の重なりが,より一層少量出荷型市場からの撤退を促し,多量出荷可能な市場への集約化を進行させていることもわかった.