本研究は,韓国語と中国語の「東京」旅行ガイドブックの各3冊に掲載された観光名所を分類し,出現頻度と空間分布を検討した.また,既存研究で明らかになった英語圏のガイドブックの特徴とも比較した.観光名所の分類から見ると,韓国・中国のガイドブックは,商業施設を指向するのに対して,英語圏のガイドブックでは,酒場とレストランを指向する.東京都内の観光名所の空間的分布に注目すると,英語圏のガイドブックでは,JR山手線周辺とその内部に偏在するのに対し,韓国・中国のガイドブックではJR山手線周辺のみならず,近隣の県まで分布が広がる.韓国と中国のガイドブックを比較すると,観光名所の種類別において,韓国のガイドブックは,観賞型観覧施設・保養施設を指向し,宿泊施設も重視する傾向にある.一方,中国のガイドブックは,商業施設・飲食施設を重視する反面,全体的に宿泊施設の出現頻度が低いことが明らかになった.