地理学評論 Series A
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論説
地形解析に基づく中山間地河川の土砂輸送過程に関する研究
南雲 直子江頭 進治
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2021 年 94 巻 2 号 p. 64-81

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抄録

中山間地河川における土砂・洪水氾濫は近年顕在化している.本稿では,2019年台風19号による大雨で氾濫した宮城県丸森町の内川流域を対象として,洪水による土砂輸送に着目しながら空中写真および地形図の判読,現地調査を行い,氾濫土砂の粒度分布や堆積深を明らかにするとともに,内川下流域における氾濫の特徴を微地形との関係から考察した.また,その地点の流域面積と河床勾配の積として定義される土砂輸送能力の縦断分布に着目して土砂・洪水氾濫の発生を説明し,内川本川および支流の氾濫は互いに影響していないことを確認した.さらに,2018年西日本豪雨によって氾濫した広島県の総頭川,天地川および大屋大川において検証した結果,この指標が中山間地河川の洪水に伴う土砂の侵食・輸送・堆積の過程を表現し,氾濫に対する弱点部を抽出するのに有効なパラメータとなることを確認した.

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© 2021 公益社団法人 日本地理学会
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