地理学評論 Series A
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飛騨山脈の立山西面における砂根山の形成
川澄 隆明
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2022 年 95 巻 1 号 p. 59-74

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抄録

飛騨山脈の立山西面では砂根山と呼ばれる尾根状の地形が山崎カール直下の浄土沢に分布し,モレーンであると指摘されたり,氷成堆積物で構成されていると説明されたりしているが,その根拠は示されていなかった.そこで,砂根山と周辺の地形・地質学的調査に基づいて,砂根山の形成過程を明らかにした.砂根山の構成礫層は,西側に隣接する弥陀ヶ原火山の降下軽石によって立山の氷河が融解して生じたラハール堆積物を主体とし,その上下に氷底堆積物を伴っている.堆積物はいずれも最終氷期前半の氷河前進期(95–47±9 ka)に浄土沢下流部に堆積したものである.これら堆積物の東側部分が最終氷期前半の氷河前進期の後(47±9 ka)から水蒸気爆発(30–18 ka)の前までの期間に浄土沢の流水によって侵食され,西側部分が水蒸気爆発で吹き飛ばされ,間に残された堆積物が砂根山を形成した.砂根山はモレーンではなく,氷河作用と火山活動および流水の侵食作用が重なって形成された尾根である.

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