深刻化する地球環境問題を背景に,衛星画像を活用した国土変容のモニタリングや地域分析が注目を集めている.特にデータが乏しい発展途上国では,都市環境の変化を把握する有力な手段として,空間情報技術を駆使した衛星画像解析が年々存在感を増している.地理学者には,汎用性のある地理空間データを創り出したり,精緻な分析手法を開発したり,新たな方法論を構築して地誌や地域研究に応用するなどして,実証研究の深化に貢献することが期待される.一方で,ビッグデータ活用時代を迎え,膨大な地理空間情報を瞬時に加工・分析し,結果を難なく可視化・流通させる空間情報技術の発展は,研究のあり方や伝統的な時間概念・空間概念の再考を地理学者に迫っている.さらに,集計的思考から非集計的思考へ,空間分析から時空間分析へ,バッチ処理からリアルタイム処理へ,モデル駆動からデータ駆動へ,仮説検証から仮説構築へと,従来の方法論からの転換を促している.