地理学評論 Series A
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岡山県美作市における獣害と狩猟活動
中島 柚宇
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2024 年 97 巻 3 号 p. 163-179

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抄録

本研究では,シカとイノシシの捕獲数が多い岡山県美作市を研究対象地域とし,1990年代以降,野生動物による農業被害が深刻化する中で,狩猟活動がどのように変化してきたかを検討した.美作市は有害駆除捕獲や防護柵整備を中心に対策を進めてきたが,多くの農家が防護柵のみの対策に限界を感じ,自らわな猟免許を取り狩猟に新規参入するようになった.それらの狩猟者の習熟の早さや,狩猟に多くの時間を割けるなどの条件により,狩猟者当たり捕獲数が著しく増加した.また狩猟者を対象としたアンケートの結果,ほぼすべての狩猟者が今後も狩猟を継続する意向を持っていた.しかし,狩猟活動の継続には金銭的負担,時間的制約,高齢化による身体能力の減退などさまざまな困難が存在することも明らかになった.美作市における狩猟活動は,銃猟からわな猟へ,小物猟から大物猟へ,趣味やレジャーから義務や労働へと,その性質や役割を大きく変容させていた.

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© 2024 公益社団法人日本地理学会
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