抄録
ユーゴスラヴィアのアドリア海岸において,偏形樹を指標として,ボラ地域の範囲を調査した.調査地域は北はイストリア半島から南はドブロフニクまで,クルク・ツレス・ロッシー二・ラブ・パグの島を含む.海岸に沿うディナールアルプスでは,峠を越して内陸まで横断観測を行なった.その結果,わかったことは次の通りである. (i) NEのボラが最も強いのはセーニ付近で,背後のヴラトニック峠から吹きだした強い気流は海上50~60kmにまで達する. (ii) これに接する北側と南側の地域では,海上数kmないし20kmにまで達する. (iii) ザダルから南は, NEの風はごく局地的に強いだけで,南部に近づくほどSEの風(ユーゴ)が卓越するようになる. (iv) アドリア海に面する斜面上では,海抜800mまでは強く, 1,000m付近で急に強さを減じる. 700~800mの峠の部分は局地的に強い. (v) 島では風上斜面と風下斜面のコントラストが極めて明らかである.また,鞍部になっている部分は非常に強い. (vi) 偏形樹が示す卓越風向の1月の平均風速と偏形度とは極めて高い相関がある.