日本小児外科学会雑誌
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症例報告
サイロ造設が救命治療に有用であった新生児絞扼性腸閉塞の1例
斎藤 浩一平山 裕仲谷 健吾合田 陽祐飯沼 泰史
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2023 年 59 巻 1 号 p. 56-60

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抄録

症例は24生日の女児.在胎38週4日,体重3,055 gで出生.頻回の嘔吐にて前医に入院しCTで絞扼性腸閉塞を疑われた.当院に搬送された時点で極めて重篤な全身状態であった.早期手術が不可欠な状況と判断されたが院内事情で手術室が使用できず,NICU内にて緊急捻転解除とサイロ造設を施行した.術後,循環呼吸状態は安定化し,3時間後に手術室にて根治手術(second look operation:以下SLO)を施行した.術中に腸回転異常症を伴わない小腸捻転と診断し,小腸の約130 cmを虚血後腸管として切除した.回盲弁は温存した.術後1年が経過した現在も成長発達面に大きな問題はみられていない.絞扼性腸閉塞における治療の原則は,一刻も早くの絞扼解除である.SLOは,これまで主に絞扼後腸管の温存を図る目的での治療戦略とされてきたが,根治手術が施行可能となるまでのサイロ造設を用いた捻転解除処置の選択も,救急蘇生法の一貫として非常に有用であると再認識された.

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