地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
私鉄資本の進出に伴う秩父地方の変容
淡野 明彦
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 47 巻 8 号 p. 498-510

詳細
抄録
今日,私鉄資本は単なる鉄道業としてにとどまらず,観光・娯楽・流通・不動産といった第三次産業のあらゆる分野にまで手を拡げ,「私鉄コンツェルン」とよばれるまでに肥大化した.私鉄資本がマーケットを拡大する場合には,工業資本が新しい工場の新設という形をとるのと同様に,鉄道やバス路線の新設といった形をとって新たな地域に進出し,その進出意図にかなったように地域を変容させていく.
本稿では西武鉄道が西武秩父線を建設して秩父地方に進出していった事例をとりあげ,この路線の建設を通しての私鉄資本の進出が秩父地方をどのように変容させていったかを明らかにすることを目的とした.西武鉄道が西武秩父線建設においてめざしたのは,秩父地方の観光開発と天然資源開発であったため,この両面から秩父地方の変容をおさえていった.緒果として,西武秩父線は私鉄資本とセメント資本の中央から地'方へのパイプの役割を果し,「観光の秩父」「セメントの秩父」の性格がさらに強化されていく実態が把握された.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top