仙台平野における沖積層の堆積構造を明らかにするため,野外調査・ボーリング資料解析および14C年代測定を行なった.これをもとに約1万年前以降の海岸線変化を復元し,後氷期の海水準変化との関係から仙台平野の地形発達を考察した.
仙台平野の沖積層は堆積環境の違いをもとに8層に細分される.とくに海成層の堆積状態に注目し,海域変化を復元した結果,後氷期の急速な海水準上昇による海域の最拡大期は,阿武隈川の埋積谷においては海水準が-10mに達する7,900年前,名取川・七北田川の埋積谷においてはそれぞれ海水準が-7m, -5mに達する7,500年前, 7,200年前にあり,その後は陸側からの土砂による海底埋積速度が海水準上昇速度を相対的に上まわることにより,海水準は上昇しながらも陸域の拡大によって海域は後退し,現在に到るものと考える.