本稿は, 京都市を対象に, 1990年代後半期におけるオフィスの立地変化に伴う業務地区の変容を考察したものである. バブル経済崩壊後の長期不況により, 京都ではほとんどの業種でオフィスが減少した. その中でも京都を歴史的に支えてきた繊維・衣服等卸売業オフィスは減少が著しい. 他方で, 情報・サービス業オフィスは不況期でも増加し, 京都駅周辺など交通条件の良い地区で新たな集積がみられるようになった. 中心市街地の業務地区の面積はこの期間に約3分の1縮小し, 都心部内のかつての業務地区に立地していたオフィスの跡地はマンション開発の好適地となっている. また, 大都市で近年みられるようになった投資用マンションの立地が, 京都の業務地区を変容させた一要因でもある.