抄録
【目的】未破裂で発見された頭蓋内椎骨動脈の窓形成に伴う脳動脈瘤に対して,破裂予防を目的としたコイル塞栓術を行った症例を経験したので報告する.【症例】症例は70歳女性.近医脳神経外科で偶然に左椎骨動脈V4の未破裂脳動脈瘤を指摘された.3年間フォローアップされたが,増大傾向であったために当科に紹介された.3D-DSAでは椎骨動脈にfenestrationを認め,その近位端に動脈瘤のネックが位置していた.椎骨動脈窓形成部脳動脈瘤と診断した.これに対してバルーンアシスト下にコイル塞栓術を行った(volume embolization ratio 23.8%).【結語】椎骨動脈の窓形成を伴う脳動脈瘤は,原因となる窓形成部の同定が困難で,高空間分解能のモダリティーが必要である.また,自然歴が不明で,治療を慎重に検討すべきである.