宝石学会(日本)講演会要旨
2019年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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2019年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
トパーズの OH-F 置換と屈折率の関係性
*福田 千紘宮﨑 智彦
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キーワード: Topaz, LIBS, OH, F
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p. 13

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抄録

トパーズは 11 月の誕生石にもなっている良く知られた宝石であり OH に富む OH タイプと F に富む F タイプの2つに大別される。これらは屈折率の差により容易に区別可能で宝石鑑別の現場では宝石用の屈折計で識別することが可能である。鉱物中に F を含有すると屈折率が低くなることが知られておりトパーズの場合も屈折率は F タイプが α=1.61 付近、OH タイプが α=1.63 付近になるものが多く若干のばらつきがみられることがある。このばらつきは OH と F の比率によると考えられている。

本研究では直接 OH と F の含有量を局部破壊検査で測定することにより屈折率の変化と F または OH の含有量の関係を明らかにすることを試みた。試料は F タイプのものを 20 個と OH タイプのカット研磨されたものを 15 個準備しそれぞれ屈折率を測定した。F タイプの 20 個の内褐色系のものが 2 個で残り 18 個は照射処理によるブルートパーズである。H(OH)と F の分析は LIBS を用いて行った。F は Ar 雰囲気下ではうまく測定できないことが分かっており He 雰囲気下で測定した。H の発光スペクトルは 656.286nm を F の発光スペクトルは 685.602nm を使用した。

屈折率測定の結果 OH タイプと F タイプのほぼ中間の屈折率を持つ試料は得られなかった。F タイプは α=1.604~1.613 まで、OH タイプはα=1.624-1.629 までそれぞればらつきがみられた。 F タイプは褐色系のものが α=1.604-1.605 と低い値を示し青色系が α=1.607-1.613 と比較的高い値を示した。褐色のものは他のものとは異なる産地で F の濃度も異なることが期待される。

LIBS 分析の結果、F タイプ及び OH タイプの双方から F 及び H が検出された。H の発光強度はOH タイプの方が強く含有量の差を示唆している。F の発光強度も同様に F タイプの方が強いがOH タイプのトパーズからも相当量の F が検出された。

これらの結果を踏まえてそれぞれの屈折率と F 及び H の発光強度の関係を紹介する。

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