宝石学会(日本)講演会要旨
2019年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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2019年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
天然ダイアモンドは永遠の輝き その真実を求めて 天文学視点による一考察
*貞松 隆弥畠 健一
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キーワード: Natural, Diamond, Forever
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p. 12

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抄録

はじめに:天然ダイアモンドの中心的存在デビアス社が 2018 年合成ダイアモンドの販売を開始した。デビアス社が合成ダイアモンドの販売に踏み切ったことが、世界のジュエリービジネス業界に衝撃を与えている。

1906 年、フランスのベルヌイ氏が合成ルビーを発明し、天然ルビーの価格は5分の 1 まで下落した。そこで、ロンドンの商工会議所内に鑑別部が設けられ、鉱物学を土台として天然・合成ルビーの見分け方を研究、鑑別方法を編み出し成功した。その後、英国宝石学協会 FGA として世界最初の鑑別機関として創設された。FGA で学んだロバート M シプリーはアメリカにて米国宝石学協会 GIA を創設した。

鑑別機関によって鑑別技術を中心とした宝石学が世界に普及した。土台は鉱物学であるが、その鉱物学の「学とは真理の追究」である。鉱物の見分け方技術を土台として、鉱物を通して地球を知るための学問である。当、宝石学会(日本)の創立者のお一人砂川一郎氏の著書「宝石は語る」のサブタイトルは、宝石は地下からの手紙と紹介されている。宝石学として鑑別技術の研究は必要不可欠ではあるが、真理の追求として宝石学とは、地球を、そして人を知るための学問としてとらえる時代を迎えたのではないだろうか

ダイアモンドは永遠の輝き:宝石で身を飾る宝飾文化は人類の精神文化の原点であると考えられる。その前提となる大地の石が人に生きる力を与えてくれた石器時代、それは物質文明の原点であると言える。更に宝石は地球とともに進化を果たしてきた故に、宝石は地球を知るための学問と言わしめている。そして 20 世紀に開かれた宇宙への扉は、21 世紀を迎え本格化し、時代は宇宙時代を迎えている。

2004 年、アメリカのハーバート大学・天体物理学センターは 50 光年彼方に宇宙最大のダイアモンドの塊を発見した。ケンタウルス星座の中に位置する白色矮星 BPM37903、その中心部 1500 キロがダイアモンドであることを波動分析により確認された。

このダイアモンドの星・白色矮星はその後、超新星爆発を起こし、爆発によって生みだされた数種の原子とともに宇宙にばらまかれる。その後宇宙のチリは集まりはじめ新たな太陽を誕生させる。50 億年前、わたしたちの太陽もそうしたダイアモンド星の超新星爆発から誕生したことを現代天文学は雄弁に語り始めた。

宇宙時代を迎え、宝石は地下からの手紙から、いま、宝石は宇宙からのメッセージの時代を迎えようとしている。天然ダイアモンドの秘められた真実を語るために、天然ダイアモンドは永遠の輝きその真実を求めて、天文学からの視点から考察したので報告する。

天然ダイアモンド VS 合成ダイアモンドを考える上での重要な視点であると確信する。

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