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宝飾用に供される合成ダイヤモンドのサイズ、品質は年々向上しており、様々なファンシーカラーも存在している。同じく、メレサイズの合成ファンシーカラー・ダイヤモンドも現在多く流通している。メレサイズのファンシーカラー合成ダイヤモンドは、ジュエリーにセッティングされた天然ダイヤモンドに混入している可能性があるため、注意する必要がある。
本研究では、 0.02 ct 前後の合成ファンシーカラー・ダイヤモンド、 Green、 greenish Blue、Yellow、 Pink、 orangy Pink、 reddish Orange、Orange、それぞれ 5 pcs、計 35 pcs を研究用に入手し、その特性と鑑別特徴について調査を行った(図 1)。これらはすべて CVD 合成ダイヤモンドとして入手したが、結果的に Orangeの 2 pcs のみが CVD 合成法を用いて製造されたもので、 他 33 pcs は HPHT 合成法で製造されたものであった。 本研究ではこれらのサンプルについて、顕微鏡下による観察、 FTIR、紫外可視分光光度計、 DiamondViewTM による深紫外線蛍光像の観察、 Raman 分光分析機を用いたフォトルミネッセンス分析(PL)を行った。
Green、 greenish Blue については、 FTIR で窒素が検出限界未満の II 型のダイヤモンドであり、紫外可視分光光度計で明瞭な 741 nm(GR1)の吸収が観察された。深紫外線蛍光像の観察で HPHT 合成特有の像が得られたが、 Green は黄橙色、 greenish Blue は青緑色の蛍光を呈した。PL 分析の結果、 Green からは GR1 (741 nm)より強い NV0 (575 nm)の発光が得られた。
Yellow に関しては FTIR 分析の結果、高濃度の A センターと非常に微弱な C センターを有することがわかった。分析の結果、それらはHPHT 合成後に放射線処理と HPHT 処理が施されたものであった。
Pink、 orangy Pink、 reddish Orange、 Orange に関しては Ib 型ダイヤモンドに照射+アニーリングを施したものである。 reddish Orange に関しては色が非常に濃く、照射量が多い。照射量が多いせいか深紫外線による蛍光強度が非常に弱いため、 DiamondViewTM による観察が非常に困難なものがあった。
本研究では、メレサイズのファンシーカラー合成ダイヤモンドについてルースの状態で検査しその特性を記載した。 CVD 合成石として入手したが、 CVD 合成と HPHT 合成が混在し、放射線照射や HPHT 処理等複合的な処理が施されていた。また、ジュエリーにセッティングされた状態で検査するにあたっては、各種データが正確に取れない場合や、そもそも測定が困難な場合もある。それぞれの合成法・処理の特性を理解し、鑑別に臨むことが重要である。