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光学顕微鏡によるインクルージョンの観察は、産地鑑別において有用な分析手法の一つであるが、精度の高い産地鑑別を行うためには豊富な知識と経験が必要である。また、観察は人間が行うことから、作業者の経験年数や体調等によって誤判別のリスクが伴う他、1 日に観察可能な宝石数には限りがある。
一方、 AI による画像判別は急速に発展し、近年では製造業において不良品の検出などに導入され始めている。 AI により宝石の光学顕微鏡像からインクルージョンを自動検出し、検出されたインクルージョンを自動判別できれば、誤判別のリスクを低減し、より効率的な鑑別作業が可能になると期待できる。
本研究の目的は、物体検出アルゴリズムの一種である YOLO を用いてルビーの光学顕微鏡像を学習し、 AI による画像中のインクルージョンの自動検出および自動判別の可能性を明らかにすることである。
ルビーの光学顕微鏡像はライカマイクロシステムズの DVM6 に暗視野照明を組み合わせて撮影した。得られた画像には様々なインクルージョンが含まれていたが、本研究ではこれらをその形態によって 3 つのグループに分類した(Group 1:液体や指紋状、羽毛状など広がった形態を示すグループ, Group 2:結晶や二相など単一で閉じた形態を示すグループ, Group 3:針状およびチューブ状の細長い形態を示すグループ)。分類に従ってラベリングした画像を用いて YOLO v8 により学習し、得られた学習結果を用いてインクルージョンの自動検出・自動判別能力を評価した。その結果、全体の平均正解率はおよそ 65%であった。本研究で学習に供した画像数は 200 枚未満と少なかったが、 AI による大まかな分類は可能であることがわかった。