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石英はあらゆる色を呈する。アメシストは天然の電離放射線の影響を受けることで Fe4+を形成し、 Fe4++O2-↔Fe3++O-の電荷移動遷移により紫色に発色した状態で産出しているが、加熱により Fe4+が還元されて脱色することが知られている。また、シトリンは、格子間サイトにある Fe3+の Fe3++ O2- ↔Fe2++ O-の電荷移動遷移により黄色を呈する。
加熱やガンマ線が鉱物の色に与える影響を調査することを目的として、天然の石英試料を対象としてガンマ線照射実験を行った。使用した試料はボリビア産のアメトリンとザンビア産のシトリンである。ガンマ線は高崎量子応用研究所の 60Co 線源により 10 日間かけて約 2.2 MGy 照射した。
アメトリン中の紫部分は、アメシストによる先行研究と同じく、 450℃で 3 時間加熱後に脱色し、 その後のガンマ線照射により色の回復が見られ、 Si4+サイトを置換しているFe が Fe4+→Fe3+→Fe4+と変化したと考えられる(図1)。また、黄色部分は加熱後もガンマ線照射後も色変化がなく、格子間サイトのFe3+に変化はなかったと考えられる。一方で、シトリンはガンマ線照射後に灰黒色へ変化した(図 2)。これらの変化は紫外可視吸収スペクトルでも確認した。
さらにアメトリン及びシトリンの加熱および照射前後の試料の同一点における赤外吸収スペクトルを測定し、 OH 欠陥の状態変化についても調べた。