日本歯科理工学会学術講演会要旨集
平成16年度秋期第44回日本歯科理工学会学術講演会
セッションID: 2S-05
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ITを用いたインプラント手術支援サービス
*十河 基文
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抄録
■臨床における不満 5年程前,臨床を行っていて疑問に思った.IT大国といえる日本であるのに,インプラントの術前診断や実際の手術で満足のいくシステムがない.当時,唯一のインプラント診断ソフトメーカーに「こうすればもっとよくなるのでは?」と助言を投げても,修正を頂くことはなかった. ■研究,特許,商品開発,起業 そんな時,卒後11年目で教官となり,初めて科学研究費を申請した.内容はインプラントナビゲーションシステムの原型である.平成12,13年度の研究期間の後,知的財産,産学連携,独法化,大学発ベンチャーの風が吹いていた.「発表すると特許は申請できない」と薄々わかっていたため,報告書提出の延期をお願いした.この技術はビジネス性が高く即戦力があると感じていたが,具体的な方法がわからない.民間企業に声をかけたが,予算の関係上断られた.そこで,探し当てたのが,大学内にある技術移転機関「大阪TLO」であった.早速,門を叩き,特許申請をした.コーディネータと何十時間もディスカションを行った.しかし,商品化への予算がない.経産省などの予算取りにいくつも挑むものの,バイオやナノのようなハイテクでもなく,また何百億円市場でもないためか採択をされない.そんな時,阪大工学部の阪大FRCの「ビジネススタートアップ・プロジェクト」という研究助成金に排水の陣で応募し採択された.昨年秋,起業した。  ■独法化の波 国立大学の独法化という節目を迎え,「大学ができる社会貢献とは何か?」を見直す動きが顕著である.アメリカの各大学は,すでに研究内容の社会還元と,特許ライセンスや新会社設立などの経済効果という答えも見つけた.我々の関係する歯科業界は,一般市場からみるとニッチである.しかし,ユーザーである歯科医師の困っていることを考えると,ビジネスチャンスはあるようだ.今回の発表では起業に至った動機や経緯,またビジネスプランをお話できればと思う.
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© 2004 日本歯科理工学会
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