抄録
前報1)において、硬石こうに酸化カルシウムを添加し、種々の濃度のりん酸水溶液を練和液として用いたときの硬石こうの膨張挙動について報告した。その結果、粉末中に酸化カルシウム、そして練和液中にりん酸を添加することにより、硬石こうの膨張を調節することができることがわかった。本報では、その反応機構を解析することを目的として、これら硬化体の熱分析およびX線粉末回折を測定した。
酸化カルシウムおよびりん酸の添加により、硬石こうの膨張を調節するには、加えた酸化カルシウムをりん酸によりすべて中和する必要があり、この比を崩すと硬化しないという前報の結果と一致した。