抄録
二酸化チタン(TiO2)は光触媒反応により防臭や防汚·抗菌作用を有することから空気清浄機やタイル, また化粧品や歯磨き粉に利用されている物質である。TiO2は, 光触媒反応により活性酸素種(Reactive Oxygen Species; ROS), とくにヒドロキシルラジカル(OH·)を生成するといわれている。このOH·が殺菌あるいは有機化学物質を容易に分解する作用に関与していると考えられており, しかもTiO2自身は触媒として作用するのみで変化をしないため, 半永久的に使用することが可能である。しかしながらTiO2から産生されるROSである, スーパーオキシド(O2·-)やOH·の産生を示す直接的な検出に関する報告は少ない。従って, 我々はTiO2から生成されるROSの検出·同定を目的として, 本研究においてはとくにTiO2の電子供給剤として過酸化水素(H2O2)共存下のROS産生の検出と性格付けをESR法を用いて検討した。
従来はTiO2による光触媒作用により産生しているROSはOH·が主として生成されるといわれていたが, 高濃度のH2O2(0.3—30%)共存下での紫外線照射により, OH·ではなくO2·-が産生していることを始めて検出することに成功した。このことは, O2·-がOH·に比較して生体障害性が低いことから, TiO2を用いた抗菌作用の応用をより安全に生体に適応していくことが可能になると考えられる。以上の結果を基にして, 過酸化水素共存下における二酸化チタン光触媒作用により産生するROSに連関した生体材料としてのチタンインプラント生体適合性のメカニズム解明を含めた新しい二酸化チタンの歯科医学的応用の可能性を今後検討したい。