肺癌
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症例
喀血で発症し気管支動脈塞栓術後に切除した末梢発生粘表皮癌の1例
小舘 満太郎大崎 敏弘徳渕 浩山本 英彦海老 規之村上 純滋
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2009 年 49 巻 3 号 p. 298-302

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抄録

背景.粘表皮癌は区域あるいは亜区域気管支から発生する比較的稀な疾患である.今回,喀血で発症し気管支動脈塞栓術後に肺切除を行った末梢発生の粘表皮癌の1例を経験した.症例.57歳男性.血痰が持続するため精査加療目的にて当院呼吸器内科入院となった.胸写上,右上肺野にすりガラス状の透過性低下を認め,胸部CTでは内部均一な腫瘤病変を認めた.喀血を繰り返すため,気管支動脈塞栓術を先行させた後,11日目に右上葉切除およびリンパ節郭清(ND2a)を行った.右肺上葉S2に腫瘍径21 mmの充実性結節がみられ,腫瘍の大半は動脈塞栓術による壊死に陥っていた.病理学的に腫瘍細胞の多くは淡明細胞で,中間細胞が混在し,扁平上皮細胞は少数みられ,低悪性度の粘表皮癌,pT1N0M0,p-stage IAと診断した.結論.粘表皮癌は末梢肺病変であっても喀血を来すことがあり,気管支動脈塞栓術を積極的に考慮すべきである.

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© 2009 日本肺癌学会
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