肺癌
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症例
ゲフィチニブによる肝機能障害後のエルロチニブが安全かつ有効であった肺腺癌の3症例
角 俊行多屋 哲也澤田 格高橋 弘毅
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 53 巻 6 号 p. 793-798

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抄録

背景.ゲフィチニブとエルロチニブは,切除不能非小細胞肺癌および再発性肺癌に対して使用可能な上皮成長因子受容体チロシンキナーゼを阻害する分子標的治療薬(epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitor:EGFR-TKI)である.これまで,ゲフィチニブによる重篤な肝機能障害例にエルロチニブを安全に後投与できたとする数編の論文報告がある.症例.3症例はいずれもEGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌であり,ゲフィチニブ投与数週間後にCommon Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)version 4.0でGrade 3以上の肝機能障害を認めた.同障害改善後にエルロチニブに変更したところ,肝機能障害の再発なく抗腫瘍効果が得られた.結論.ゲフィチニブによる重篤な肝機能障害発現例において,エルロチニブへの変更は治療選択肢の1つになり得ると考えられる.

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© 2013 日本肺癌学会
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