肺癌
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症例
腫瘍随伴症候群として皮膚筋炎を発症した肺腺扁平上皮癌の1例
友田 義崇春田 泰宏目井 孝典宮崎 佑介餘家 浩樹
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2013 年 53 巻 7 号 p. 870-875

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抄録

背景.皮膚筋炎に悪性腫瘍が合併することが知られているが,肺癌が先行して皮膚筋炎を発症する例は稀である.症例.60歳.男性.2006年肺腺扁平上皮癌に対して左上葉切除術施行,pT2aN1M0 Stage IIAと診断された.2008年に縦隔リンパ節転移による再発を認め,化学放射線療法が行われた.2011年頚部に皮疹が出現,CKの異常高値を指摘されて紹介入院となった.手背にGottron徴候,四肢の筋力低下を認め,皮膚筋炎と診断した.肺癌の再発による縦隔リンパ節の腫大を認め,腫瘍随伴症候群を疑い肺癌に対する放射線照射による治療を行ったが,進行性の筋力低下を認めた.皮膚筋炎に対してbetamethasone,cyclophosphamideを併用,EGFR遺伝子変異を認めたため肺癌に対してgefitinibを投与し,筋力の改善を認めた.しかし8カ月後多発肺転移を認めるとともに皮膚筋炎の再燃を認めbetamethasone投与,化学療法を開始した.肺癌の再発とともにCK上昇,筋炎の悪化を認めたことより,腫瘍随伴症候群と診断した.結論.腫瘍随伴症候群としての皮膚筋炎が肺癌の診断後に発症する例は稀であり,報告する.

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© 2013 日本肺癌学会
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