肺癌
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喀痰検診細胞判定基準と指導区分の再検討
赤荻 栄一小川 功船越 尚哉柴田 文雄相馬 雅行三井 清文鬼塚 正孝森田 理一郎山本 達生木下 朋雄
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1992 年 32 巻 1 号 p. 53-59

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抄録
喀痰検診5年間の成績を踏まえて, より効率的な早期肺扁平上皮癌の発見をめざした異型扁平上皮細胞判定基準と事後指導の方法を検討することを目的とした.延べ37015名の受診者のうち, 肺癌学会分類を基にして作成した筆者らの細胞判定基準による判定C (中等度異型) からの癌の発見はなかったが, 判定D (高度異型扁平上皮および癌疑い) では, 高度異型扁平上皮の精検受診者77名から4名 (5.2%), 癌疑いでは36名から10名 (27.8%) の癌が発見された. 従って, 判定Cでは次年度の喀痰検診による追跡で十分であると思われ, 判定Dでは, 癌が疑われると判定された場合には直ちに精検が必要だが, それよりも異型が弱く高度異型と判定された場合には直ちに喀痰細胞診を再検し, 細胞異型が同様に比較的弱ければ, 以後喀痰細胞診と胸部X線写真で追跡すればよいものと思われた.
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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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