血清AFP値が3,871ng/mlと異常高値を示した原発性肺癌の75歳の男性に肺葉切除を行った.術後血清AFP値は正常となったまま, 6ヵ月後に胸部X線および胸部CTにて対側肺内転移を認めた.他に遠隔転移ないため, 再手術を行い転移巣を完全に切除した.病理所見では原発巣, 転移巣ともに低分化型腺癌であった.免疫染色でAFP産生が確認されたが, 転移巣は原発巣に比べAFP陽性細胞の割合が非常に少なかった.患者は再手術より10ヵ月現在再発なく生存中である.AFP産生肺癌であっても本例のように血清AFP値の推移が再発の予測にはならない症例があり, 全身CTによる監視が必要である.