肺癌
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肺小細胞癌と肺腺癌との同時性肺多発癌の1例
大西 康司平木 章夫上岡 博安藤 陽夫清水 信義原田 実根
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1998 年 38 巻 3 号 p. 261-265

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抄録

症例は57歳, 男性. 健診にて胸部異常陰影を指摘され近医受診. 胸部CT検査にて右S3に直径2cmの結節影を認めたため, 精査・加療を目的に当院第2外科に入院し, 経気管支肺生検で中等度分化の肺腺癌と診断された。胸部CT検査で縦隔リンパ節腫大を認めたため, 縦隔鏡を施行し7番リンパ節の生検を行ったところ, 小細胞癌と診断され, 同時性肺多発癌の治療のため当科に転科となった。シスプラチン, エトポシドと胸部照射の同時併用療法によって, 縦隔の小細胞癌は91%, 肺野の腺癌は43%の縮小が得られ, 胸腔鏡下でS3の切除と縦隔のリンパ節郭清を行った. 縦隔のリンパ節は組織学的にComplete response (CR) であった. 同時性肺多発癌の中でも治療の対象となるような小細胞癌と非小細胞癌の組み合わせは極めて稀な症例と考えられ, また興味ある治療反応性を示したので報告した.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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