過去3年間に, 慢性腎不全 (CRF) 維持透析中のfollowupで発見された原発性肺癌を3例経験した. 症例1は, 60歳時より維持透析中の63歳女性. 右肺腺癌で右上葉切除術が施行された. p-T2NOMO-IBで, 術後3年非担癌生存中である. 症例2は, 47歳時より維持透析中の59歳女性. 右肺腺癌で右上・中葉切除術が施行された. 術後肺瘻のため第1病日に再開胸した. p-T2NOMO-IBで, 術後1年6ヵ月非担癌生存中である. 症例3は, 61歳時より維持透析中の62歳男性. 閉塞性肺炎を合併した左肺扁平上皮癌で, 肺転移もあり, 放射線療法が施行されたが, 半年後に多発肺転移で死亡した. 以上より, 周術期管理を慎重に行えば, 透析患者の手術適応や術式選択は非透析患者と同様にしても構わないと思われた. また, 透析患者に対する化学療法症例蓄積によるprotocolの確立が必須と思われた.