肺癌
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術前の放射線化学療法が奏功した肺腺癌の1例
石橋 陽子得地 令郎蒲池 匡文原田 真雄磯部 宏岡安 健至
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2001 年 41 巻 1 号 p. 65-68

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抄録
症例は53歳男性. 健康診断で胸部異常影を指摘され当科へ紹介となった. 肺腺癌c T1N2MO, stage III Aと診断し,#2のリンパ節がbulkyなためneoadjuvant therapyの施行を考慮した. 40Gy/16frの放射線療法とCisplatin (25mg/m2, day 1, 8, 15) +Docetaxel (20mg/m2, day 1, 8, 15) の化学療法の同時併用療法を施行し, 治療後のCTでは原発巣は瘢痕のみとなり,#2のリンパ節も32x28mmから20×10mmまで縮小した. 治療効果はPR相当と判定し, 放射線化学療法後の手術療法 (右上葉切除+縦隔郭清術 (ND2a)) を施行した. 摘出標本の病理組織学的所見では癌細胞は認めずp T0N0であり, 放射線化学療法の効果はCR相当であった. 術前の放射線化学療法によりCRが得られた進行肺腺癌の一例を経験し, 集学的治療に向けてその有効性が示唆された.
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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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