日本ハンセン病学会雑誌
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原著
境界反応に続いて出現した後天性遠心性白斑 (halo nevus)
並里 まさ子
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2018 年 86 巻 3 号 p. 175-179

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抄録

 35歳のハンセン病LL型 (subpolar type) 患者にWHO/MDT/MBを24カ月投与し、続いてディアフェニールスルフォンとミノサイクリン (MINO) よりなる化学療法を行った。後者の治療を開始して10カ月後に、顔面神経麻痺の形で境界反応を発症した。さらに1カ月後、以前より認めた母斑細胞性母斑の周囲に後天性遠心性白斑 (halo nevus) が出現し、さらに他の色素脱失斑も出現した。病理検査にて、母斑細胞の集塊に泡沫状のマクロファージが混在し、さらにリンパ球侵入が加わり、母斑細胞の一部は構築が崩れて離散していた。マクロファージの胞体は、らい菌特異的抗PGL-I抗体で陽性に染色された。境界反応の経過中に、マクロファージと混在していた母斑細胞が同時に破壊されたことが引き金となってHalo現象が出現したのか、あるいは境界反応によって破壊された神経組織から、色素形成細胞との共通抗原性を持つ物質が放出され、色素脱失斑の形成に繋がった可能性も考えられる。MINOが自己免疫反応に関与した可能性については、臨床経過等より否定的であると思われる。

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