抄録
思春期・若年成人(AYA)ALLは小児科,内科のはざまで,両者により治療が行われ,統一された治療コンセプトが無かった.2000年にこの世代のALL患者では,小児科で治療されたものの方が内科で治療されたものより良好な治療成績であることが示されて以降,小児型治療を用いてAYA ALLあるいは成人ALLを治療する臨床研究が行われるようになり,従来の治療に比べて大幅な治療成績の改善が報告され始めている.JASG ALL202-U研究は小児プロトコールを用いて15–24歳のPh陰性ALL患者を治療し,有効性と安全性を検証した試験である.139例が解析対象となり完全寛解率94%,5年無病生存率67%,5年全生存率73%であり,ヒストリカルコントロールに比べて極めて良好な成績であった.重症有害事象の発症頻度は高かったが,同じ治療を小児グループの臨床研究で受けた10–18歳における発症頻度と比較すると同等以下であった.有害事象などにより維持療法を途中終了する症例が多く認められたが,そのような症例は有意に予後不良で,多変量解析においても最大の予後不良因子であった.