日本ハンセン病学会雑誌
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ハンセン病による鞍鼻の再建手術の一例
石田 裕Lorella PicoriniElena Guglielmelli
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キーワード: ハンセン病, 鞍鼻, 再建手術
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1999 年 68 巻 3 号 p. 201-205

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抄録

22才、ベンガル人女性、L型ハンセン病の治療後の鞍鼻変菰に対し、腸骨よりの骨移植による再建手術を行なったのを機会に、ハンセン病コントロール活動の中での、この変菰の矯正の意味について若干の考察を加え報告した。
鞍鼻は、未治療のまま長期間放置されたL型ハンセン病の患者に見うけられる。バングラデシュでは、早期発見キャンペーンとWHOの多剤併用療法の普及の結果、新規登録者における鞍鼻の頻度は激減した。しかし、後遺症として鞍鼻を持っている元患者は散見することができる。ハンセン病の後遺症の内、鞍鼻は、患者自身の身体的障害や精神的負担ばかりではなく、通常の社会生活を送る際にも大小の影響を及ぼすと考えられる。鞍鼻は、機能障害の少ない場合が多く、ハンセン病の後遺症の中でその重要度は低く見られやすい。また、他の手足や目の障害の予防の観点からも、この変形に対する対策は後回しにされやすい。しかし、鞍鼻は目につきやすい変形であるので、本症の矯正は本人にとってはハンセン病の治療と同じ程度重要である。本患者は、術後、結婚出産し、現在正常な社会生活を営んでいる。ハンセン病の後遺症は矯正出来、ハンセン病は目に見える後遺症を残さず治ることが出来ることを地域住民に示し、ハンセン病に対する間違った先入観を払拭することにより、新患発見等の地域での活動により熱心な協力を得ることが可能となる。今回の経験から、鞍鼻に対し適切な矯正術を行なうことは、患者自身はもとよりハンセン病コントロールにとっても重要であると考えられた。

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