2023 年 79 巻 26 号 論文ID: 23-26004
SDGsは不可分な関係であるが,そこにはシナジーとトレードオフが考えられる.本研究では健康寿命の延伸をゴールとしたネクサス構造を分析し,健康寿命延伸とSDGs達成の関係性を明らかにする.また,構築したネットワーク構造を用いて,SSPシナリオに基づき健康寿命の推計を行い,優先度の高いゴールを示すことである.その結果,健康寿命延伸にはゴール1等の社会的分野が効率的であるが,トレードオフも多く,慎重に政策を選択する必要があること.一方,ゴール13等の環境的分野は1次波及では影響は大きくないが,シナジーは最多,トレードオフは最少であるため,2次以降の効果波及が大きい可能性があることを示した.また,将来推計よりSSP1でも健康寿命は減少し,健康寿命の積極的な延伸にはゴール13やゴール15の改善が重要であることを示した.以上より,自治体が社会的分野と並行して環境的分野を推進することで健康寿命およびSDGs達成に寄与する可能性があることを示した.