高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
知的機能が失語症患者の基本ADLに与える影響
―レーブン色彩マトリックス検査を用いて―
森田 秋子小林 修二
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2005 年 25 巻 1 号 p. 26-32

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抄録
失語症患者の知的機能が基本ADLに与える影響をパス解析を用いて検討した。対象は, 脳血管障害初発発作から3ヵ月以内にT病院に入院した80名の失語症患者。基本ADLはバーセル・インデックス (以下BI), 失語症重症度は標準失語症検査 (以下SLTA) 総合評価点, 知的機能はレーブン色彩マトリックス (以下RCPM) を用いて測定した。各機能は入院時, 3, 6ヵ月時に測定した。年齢, 発症から入院までの期間, 身体機能についても考慮に入れたモデルを作成し, パス解析を実行した。その結果, 寄与率は66~76%と高くモデルは適合した。入院後いずれの時期のBIに対しても, 影響を与えたのはSLTAではなくRCPMであった。失語症患者の基本ADLを予測するために重要なのは知的機能であり, 失語症の重症度ではないことが明らかになった。失語症患者の基本ADL改善のために, 知的機能へのアプローチの重要性が示唆された。
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© 2005 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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