抄録
神経科学の分野では計測技術の発展が著しく,神経活動の情報を高い時間空間分解能の計測システムによりイメージン グデータとして取得することが可能となっている.しかし,データ構造は複雑になり,サイズも大きくなる一方であり,さら に計測システムや計測対象に依存した様々なアーチファクトやノイズが混入しているのでこれらの補正や低減のために何段階 かの事前処理を施す必要がある.その後,有意な生体信号の検出を行い,生理学的な観点から目的とする解析を行うことにな る.本稿では脳幹の呼吸中枢を計測したイメージングデータを用い,相互相関解析を用いた呼吸ニューロンの検出,統計学的 時系列解析をベースにしたフィルタリング法による呼吸ニューロン集団の活性化パターンの検出,因果解析によるとニューロ ンネットワークの推定法について解説する.