2012 年 32 巻 3 号 p. 385-392
進行性発語失行 (progressive anarthria / apraxia of speech) と称すべき, 進行性失語タイプが存在することを主張し, その詳細についてまとめた。1) 概念 : 進行性発語失行 (progressiveanarthria/apraxia of speech) は原発性進行性失行 (Primary progressive apraxia) として捉えるとわかりやすい。原発性進行性失行 (Primary progressive apraxia) は, 上肢に現れる肢節運動失行/観念運動性失行または発語失行を中心に報告されている。Kawamura and Mochizuki (1999) のレビュー以降, 上肢の症状に関する報告は減少しているが, これは大脳皮質基底核変性症 (CBD) 症状と捉えられるようになったためと思われる。他方, 発語失行に関する報告は増加し, 原発性進行性 (非流暢性) 失語との異同の検討や, 病理的検索がなされている。2) 症例 : 進行性発語失行 (progressiveanarthria / apraxia of speech) を 2 症例提示する。すなわち, 2-1) 典型的発語失行で発症し, 持続した症例, 2-2) 発語失行で発症し, 認知症を呈し, 剖検でPick 病 (FTLD-tau) 診断例, である。
進行性発語失行は, 進行性運動障害性発語失行の中核として捉えることができ, その病因はタウオパチーが多い。