高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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シンポジウム I : ノンバーバルコミュニケーション
ノンバーバルコミュニケーションの発達と障害 顔認知を題材にして
山口 真美
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2013 年 33 巻 2 号 p. 168-174

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抄録

   乳児を対象とした発達過程から見ると言語発達と顔認知発達は類似した点がある。この類似点を述べた上で, 本論では, 顔認知の発達と障害と, コミュニケーション的観点からの顔認知発達の重要性について論じる。複数の処理段階を経て成人の顔処理へと移行する, 顔認知の発達について論じ, さらに顔認知の障害には, 発達初期の初期視覚野の特異性が原因となる可能性があることについて論じる。発達初期の顔学習を示した顔学習モデル(Valentin ら 2003)によると, その情報量から予測されるよりもはるかに速く学習が進むという。この速い顔学習には, 乳児期の未熟な視力がかかわっている。すなわち, 視力が十分に発達していないため, 入力される顔が粗く情報量が少なくなり, 結果として短期間での顔学習が成立するという。こうしたメカニズムについて言及しつつ, 乳児の視力によって顔のどんな情報が学習されやすいか, 顔の全体処理のメカニズムから説明し, 顔を見ることが苦手とされる, 発達障害の顔認知発達についても言及する。

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© 2013 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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