2019 年 39 巻 3 号 p. 300-305
失語症リハビリテーションにおいては急性期・回復期での訓練にとどまらず, 生活期での十分な支援が重要である。失語症者が安心して地域社会で生活できるようにするためには, 失語症会話パートナーが必要であるとの考えのもと, 2000 年に NPO 法人言語障害者の社会参加を支援するパートナーの会和音は失語症会話パートナー養成講座を開講した。その後自治体での取り組みも始まり, 地域包括ケアシステムや, 障害者総合支援法に基づいた養成もされている。地域住民が失語症会話パートナーとして活動することは, 失語症者の社会参加を推進し失語症者の生活の質の向上に寄与している点で意義が大きい。本稿では失語症会話パートナー養成事業の概要を紹介し, 板橋区, 武蔵野市での取り組みを述べる。また, 厚生労働省の障害者総合支援法の見直しにより, 失語症者向け意思疎通支援者養成が都道府県必須事業として 2018 年度にスタートした。今後, 行政による公的なサービスとして期待される。