2019 年 39 巻 4 号 p. 412-420
左半側空間無視患者は, alertness を含む空間的方向性を持たない注意機能の障害も合併していることが多い。聴覚刺激は, 空間性注意以外の認知的側面に働きかけ, 課題成績を向上させる可能性がある。 本研究の目的は, 音声刺激の内容による抹消課題の成績の差を検討することである。対象は右半球の脳血管障害による左半側空間無視患者 7 例である。赤丸抹消課題を (1) 音なし条件, (2) 無関連語条件, (3) 標的語条件, (4) 方向語条件の 4 条件で行った。その結果, 方向語条件と標的語条件の抹消率が, 音なし条件のそれよりも有意に高かった。すなわち, 課題に関係する有意味な音声が成績の向上をもたらした。また, 音声刺激を提示した条件 (方向語条件, 標的語条件, 無関連語条件) の抹消率と改訂長谷川式簡易知能評価スケール (HDS-R) 得点の相関が, 音なし条件の抹消率と HDS-R 得点の相関に比べて高かった。