高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
左半側空間無視患者における文章の読み誤りに関する検討─無視性失読に語彙知識が与える影響─
吉田 朋会阿部 晶子橋本 律夫川田 竜也上地 桃子
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2019 年 39 巻 4 号 p. 404-411

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抄録

  左半側空間無視患者を対象に, 日本語の横書き文章を用いて, 行頭を読み落とすと文が意味的・文法的に損なわれる文と損なわれない文では, 無視性失読の出現しやすさが異なるかを検討した。対象は左半側空間無視患者 10 例と対照群の健常成人 10 名であった。方法は, 2 種類の横書き文章の音読課題 (語中課題 : 語中で改行, 語末課題: 語末で改行) を実施した。2 種類のうち, 語中課題が行頭の文字を読み落とすと文中の語が成立しなくなる課題である。結果は, 左半側空間無視患者 10 例中 7 例に行頭の読み落とし (左無視性失読) が認められた。7 例中 3 例において, 語中課題において行頭を読み落とした行の割合が, 語末課題におけるそれよりも有意に低かった。これらの例は, 改行時に語を認識できるところまで左方を探索していた可能性がある。本研究により, 左無視性失読の症例の一部で, 語彙 / 非語彙の知識が無視性失読の現れ方に影響を及ぼす可能性が示唆された。

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© 2019 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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