2020 年 40 巻 2 号 p. 187-193
右半球優位の低下を認める左右差の強いレビー小体型認知症 (DLB) 例を報告した。本症例では複数対象の視覚処理に時間を要し, 線画の一部を見て全体を推測していると考えられ, 腹側型同時失認が存在すると考えた。そして, 本症例に認めた視覚認知障害は右半球障害に起因していると考えられた。本症例のように, 左右差が見られ, いずれかの後頭葉が保たれている症例の場合, 基本的に視知覚障害は軽度であるが, 多彩な視覚認知機能障害を呈することが示唆された。DLB は, アルツハイマー病 (AD) や健常高齢者と比べてどの程度の左右差を持つ疾患なのか, また大脳のどの部位に左右差を認めるのかを明らかにするため, IMP-SPECT を用いて多数例の DLB 群, AD 群で比較を行った。DLB の左右差の頻度については AD よりも少なかった。DLB では後頭葉 (舌状回, 楔部) , 側頭葉後方に見られることが明らかとなった。