疾患に関わる知識・脳解剖の知識があっても, その次のステップである, 画像上の病変が, 正確にどこにあるのか同定することは意外に困難である。そこで本稿は, 初学者を対象として, 解剖構造を診断画像上で同定する技術, この部分に絞って, 特に言語・失語に関わる皮質領域について, 主に脳回・脳溝構造の読影法を解説した。近年 MRI が普及するなか, 正確に読影を行うには, 特に 3D 撮像を行い, 対象となる解剖構造によって水平断, 冠状断, 矢状断を適切に選択すること, また, 連続的な複数断面を検討することが重要である。なかでも, 中心溝の読影が重要であり, 周辺の様々な脳溝は, 中心溝の位置に基づいて決めていくことになる。症例ごとに神経心理学的症状・所見を, 画像上の解剖学的構造情報とあわせて丁寧に検討することは, 個々の症例の理解・治療に役立ち, さらには, 神経科学そのものに寄与する。
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