高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
繰り返し実施した言語流暢性課題成績に対する時間情報と頻度情報を用いた定量的解析
大門 正太郎能登 栞板口 典弘
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2021 年 41 巻 4 号 p. 387-396

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抄録

  前頭葉機能に低下を示した脳血管疾患 2 症例に対して, 継時的に語想起課題を実施し (週 5 回を 4 週あるいは 5 週) , 産出単語の時間情報と頻度情報を併せた検討を行った。両症例とも, 総反応数は増加していったものの, 評価期間後期で横ばいとなった。各回の単語出現頻度の平均値は大きく変化しなかったが, コンスタントに比較的低頻度な新規単語が出現した。また, 長い時間スケール (評価期間) および短い時間 (1 分間の課題内) スケールそれぞれの時間スケールにおいて, 高頻度語から低頻度語に移行するという単語頻度効果が確認された。さらに, 症例 1 名においては, 課題内の頻度効果が, 評価期間を通じて強まっていった。本研究で観察された 2 つの時間スケールにおける頻度効果およびその変化を, 言語流暢性課題内における言語性要因と実行機能要因のダイナミズム, および実行機能の回復という観点から検討した。

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© 2021 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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