2025 年 45 巻 2 号 p. 100-109
小脳が運動制御の中枢であることは古くから知られてきた。しかし1980年代半ばから,解剖学,神経放射線学,電気整理学などの分野で急速な発展がみられ,小脳の認知機能への関わりについての報告や研究が増加し,小脳の役割に関する研究は大きな転機を迎えている。臨床においても小脳病変を有する患者の認知機能障害や情動障害が以前から指摘されていたが,cerebellar cognitive affective syndrome(CCAS,小脳性認知情動症候群)の概念が提唱されたことにより,その評価や治療などに関連する領域においても小脳が認知機能に対して果たす役割がこれまで以上に注目されている。今後の発展に向けて,より多くの臨床家が小脳と認知機能の関連について着目し,症状の詳細な観察を通じてさらなる知見を積み重ねることが求められる。