2015 年 2015 巻 25 号 p. 160-165
困難な状況を経験し,一時的に心理的不健康の状態に陥っても,それを乗り越え,うまく適応していく過程・結果や能力のことをレジリエンスという.レジリエンス研究では,能力に着目することが多く,過程に視点を置いた理論的研究はあるが,実践的研究は少ない.そこで,本研究では,遊戯療法過程を,レジリエンス概念で捉え直すことを目的に行ったレジリエンス過程研究を実施した.分析対象とした臨床実践は,筆者が実習において担当した男児A 君(当時8 歳)とのプレイセラピィ全29 回分である.
結果,男児の遊びには大きな変化が見られ,日常生活においても良い報告が得られていることから,プレイセラピィの効果が見いだされたと言える.このプレイセラピィにおける言動について,レジリエンス要因を分類し,数値化したところ,当初レジリエンス個人要因としての「自律・自己制御」「感情調整」という機能が負の側面として多くカウントされていた.しかし,徐々に「自律・自己制御」「感情調整」の評定も正の側面としてカウントされていることがわかった.
臨床心理実践におけるプレイセラピィの過程をレジリエンス要因の視点から分析することで,プレイセラピィの意義が端的に説明できることが明らかになった.また,適応過程に大きく影響するレジリエンス要因を捉える可能性も示された.