2016 年 2016 巻 26 号 p. 217-224
本研究の目的は,エマージェント・カリキュラムの有効性を検討するものである.エマージェント・カリキュラムは,子どもの興味・関心(自発性)から保育を組み立て展開することを特徴とするため,「自立への欲求」が最も強く現れる3 歳未満児の保育に適しているカリキュラムであると考えられる.研究方法は,すでにエマージェント・カリキュラムを実践している保育園の保育者とともに,過去の指導案と実践の記録を持ちよって検討し,指導案を作成するための視点を確認しながらエマージェント・カリキュラムについての有効性を確認するというものである.
得られた成果の一つは,3歳未満児の保育カリキュラム(年間計画,月案,週案)の分析を通して3歳未満児の保育所における子どもの保育や子どもの育ちの姿の実態に即した計画をリアルタイムで立案し実践できたことである.2点目は,エマージェント・カリキュラムの形式の開発の方向が明らかになって来ていることである.3点目は,エマージェント・カリキュラムが「計画と実践」を往還させるうえで有効であるということである.4点目は保育における日課(過ごし方)は,ただのスケジュールではなく「活動から活動への移行」を子どもがどのように経験するのかという点を重視することから、エマージェント・カリキュラムを支える重要な概念となることが示唆されたことである.今後の課題として,エマージェント・カリキュラムの有効性を他者に伝えるための概念を検討することである.