人間生活文化研究
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『ごもくめし』と留学生
伊藤 みちる
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2017 年 2017 巻 27 号 p. 645-653

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抄録

 大妻学院を創立した大妻コタカ先生が執筆した自叙伝『ごもくめし』は,「良妻賢母の大妻」という世評を培ってきた学院の女子教育の基本理念やその歴史が詳細に記されている. これまで『ごもくめし』は学院傘下の中学・高等学校の生徒や, 大学・大学院の学生, 保護者や教職員に読まれてきたものであり, 外国人による講読や感想の報告はない. 本稿は2016年度後期に大妻女子大学国際センターに所属していた10名の中国と韓国の留学生が,『ごもくめし』の講読を通じ, ①どのような 感想を抱いたか, ②来日前から抱いていた日本女性に対する否定的なイメージや偏見がどのような変化を遂げたのかについて記録した. さらに『ごもくめし』講読によって大妻女子大学への留学に特別な意義を見出すことができたのかについて示した. 日本女性は結婚後, 家庭に閉じこもるしかない可哀想な存在という留学生の偏見は, 『ごもくめし』に記された結婚後の女性の社会進出を支持するコタカ先生の考えにより和らいだ. そして結婚して家庭を築いてから職業婦人となったコタカ先生に敬慕を抱くと同時に, 様々な困難を乗り越えて一人の日本人女性が創立した大妻女子大学に留学したことに好意的で特別な意味を見出していた.

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© 2017 大妻女子大学人間生活文化研究所
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