2018 年 2018 巻 28 号 p. 126-130
本研究は,世代間比較によって友人関係の特徴について明らかにすることを目的とする.友人関係は日々の生活を営む中で重要な関係性の一つとして考えられており,心理学の分野においてこれまで数多くの研究が蓄積されている.しかし,友人関係研究には「友人」の定義が不一致のまま研究が蓄積されているという批判や,友人関係研究のほとんどが,児童期,青年期を対象に行われており,知見の一般化可能性に問題があると指摘されている.そこで,本研究では,ウェブ調査を用い,20代~60代までの多世代を対象とし,世代間による友人関係の概念整理および特徴について検討することとした.200名を対象としてウェブ調査を行った結果,学生時代から付き合っている友人の数と携帯電話に登録している友人の数は,前成人期(23歳~34歳)が多いという結果など世代間による違いがいくつか見られた.一方,異性の友人の数,学生時代以降から付き合い始めた友人の数,そこまで仲良くないけれども付き合っている人の割合は発達段階による違いは見られないなど,世代間で共通している特徴も明らかとなった.今後は,質問紙調査やインタビュー調査など他の調査手法を用いて同様の結果が得られるのかについて検討することや青年期のデータとの比較を行うことによって世代間の友人関係の特徴をさらに整理していくことが重要であろう.